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ばんちゃんの読書日記~新書・文庫篇~

読んだ本の感想や勉強になったことをメモするための読書日記です。

欲に正直に生きる 『野心のすすめ』を読む。

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働く女性との縁は深い。母はずっと公務員。妻もバリバリのキャリアウーマン。私はエステサロンを経営している。前職も女性が6割以上の会社に勤めていた。それゆえに、女性の働き方には理解がある方だと自負している。

 

こないだ、アルバイトスタッフから労働時間の短縮をお願いされた。夫の扶養に入っているため、あまり働き過ぎないようにしたいそうだ。小学生と幼稚園の子どもがいて、ギリギリで生活している。確かに中途半端な労働時間ほど損をする。正社員として自ら社保に入って働いた方が得だ。しかしそこまで踏ん切りはつかない。子ども達がせめて中学を卒業してくれればエステティシャンとして独立したいと考えている。

 

あと10年。その頃には彼女も40を過ぎるだろう。果たしてそこまでアルバイトでモチベーションを保てるのか。本当はもっと働きたい、独立したいという願望があるにもかかわらず我慢を強いられる環境を話されると、男は何も言えまい。もっと男が働いて稼げよ。奥さんを楽させてあげろよ。そんな声がどこからともなく聞こえてきた。

 

人生は苦難の連続だ。みんな我慢しながら生きていくのだ。しかし、願望を抑えることが健全な我慢なのか。願望を叶えるために苦労することが我慢だと思うのだが。

 

 

人気エッセイストの『野心のすすめ』は、ハッキリと欲望と向き合うことを肯定してくれる。著者自身がかなりの破天荒で、野心丸出しで、苦労しながら今の地位を築き上げた人だ。いわゆる業界人の経験談だから、我々のような人間が真に受けるのは怖いが、彼女の主張も記しておこうと思う。

  

ノート1:日本人が野心を失っている理由

社会全体に漂う閉塞感と、最低限の生活で満足している楽観的な生活習慣によって、日本人に上昇志向が消えかかっている。今や「年収1千万円」を結婚の条件にしたら、相手がほとんど見つからない時代。女性達は、お金持ちじゃなくてもいいから安定した職業に就いている人に憧れる。

 

「とりあえず食べていければいい」という考えにたどり着く。その結果、毎日ユニクロ、一生ユニクロの服を着る人生を送る。もっと素敵な人生を想像することもしなくなり、地味で停滞した雰囲気が漂う人生になってしまう。

 

欲しいものを自分で手に入れる。そういう努力をするには「もっと良い暮らしがしたい」とか「有名になりたい」といった願望と妄想が必要なのである。

 

ノート2:モチベーションの保ち方

ではどうしたら野心は沸いてくるのか。それは現実を見て屈辱感を味わうことだ。昨今は他者と比べることに反対する意見が多い。しかし、他者と比べたときに感じる、うらやましさ、劣等感が原動力になり得る。

 

自分は自分と割り切ってしまったり、上手くいっていない事実を楽観的に解釈したりすると野心は生まれない。学生時代からの友人であっても、大人になってからついてしまった差は友情に亀裂を産む可能性がある。大人になって海外旅行に行くとき、ファーストクラスに乗りたい人と、ビジネスクラスで我慢しないといけない人では旅行も楽しくない。

 

自分も負けたくない。もっと素敵な人生を送りたいと思えるようになったら、どんどん挑戦する。斜に構えず、キレイにまとまろうとせず、ひたすら努力する。うまくやろうとして誰かに取り入ったり、ズルをしたりすることは健全な野心とは言えない。

 

ノート3:女性の働き方について

働くママは意地でも仕事を手放すべきではない。自分で稼ぐことが自分の成長につながるからだ。

 

少子化の危機感から子育てを奨励する一方で、全国的に待機児童の問題は解決されない。そうすると、ベビーシッターを雇える人の財力、親が近所に住んでいるアドバンテージなどで、格差が広がっていく。働くママの負担ばかりが増えていく。

 

その中で、「女は家庭」という道を選ばなければいけない場合もあるだろう。専業主婦としての生き方を否定するつもりはないが、子育てが一段落して始めたパートでも、自分で稼ぐ機会を持った方が良い。生活のためではなく、自分を磨くために。「仕事とはイヤなことも我慢して、他人と折り合いをつけながら自己主張をしていくこと。(p.135)」自分らしく生きるために必要なのだ。

 

 

ノート4:林真理子流「野心の心得」

  • 時間は2倍に使う:隙間時間でも1つ以上の事を行う。
  • ぐっすり眠ってから考える:毎日イヤなことは眠ってリセットする。
  • 運の強い人、楽しい人と付き合う:野心は人とのつきあいから生まれる。

 

 

働く女性への痛烈な応援メッセージだ。一生ユニクロでも私は構わないが、女性なら高級品の一つや二つ身につけるべき、という主張もわかる気がする。

 

このブログでも度々取り上げたが、働き方改革がやたらと取りだたされている。「残業は悪である。」「仕事とプライベートを両方充実すべきだ。」「労働時間の上限を作って破ったら罰則を与える。」「生産性を上げるよう企業に努力を促す。」政府も必死で色々と取り組み始めているようだ。

 

しかし、働き手が「安定的な仕事を」「収入はそれなりで」「ユニクロがあれば服には困らない」と考えているうちは、制度や労働時間を変えても意味ない気もする。

 

生産性、生活向上のためには欲が必要だ。「自分はこれだけ稼ぐのだ」そして「BMWに乗るのだ」「ハワイに別荘を買って、年末は芸能人みたいにハワイで暮らすのだ」そんな想像をしながら働けば、成果のために必死で考え、必死で働く。今よりも素敵な未来に向かって頑張るからだ。

 

アルバイトの彼女にはぜひ、心のストッパーを外して独立の夢を追いかけてもらいたい。