ばんちゃんの読書日記~新書・文庫篇~

読んだ本の感想や勉強になったことをメモするための読書日記です。

『感情的にならない話し方』を読む。

また、妻と喧嘩してしまった。もう、怒り出したら止まらない。法廷ドラマ「リーガルハイ」の古御門先生みたいに一方的にまくし立て、相手の話は全く聞かない、反論の余地も与えない。そして、最後はイヤミな顔でトドメを刺す。するとどうなるか。決まって右手が飛んでくる。最近はパーでもない。げんこつが飛んでくるのだ。1歳になった娘は何度となくこの修羅場を目撃している。その時の娘の潤んだ目が忘れられない。喧嘩するたびに、どちらが悪いという話になるわけでなく、娘の前では喧嘩はやめようという、条件付きの休戦協定が暗黙に結ばれるのである。

 

きっかけは本当に些細なことが多い。洗濯物をしっかりしわ伸ばしして干してないだの、台ふきでテーブル拭いたあと、フキンを乾かさないだの、出した物を片付けないだの。姑か、というほどイヤミに聞こえる。こっちとしては、そんな気は無いのだが、「まったく雑なんだから」といわれると、人格を否定されているようでイラッとする。この起きてしまった事象について、注意するならまだしも、帰納法を使って私を「こういう人間」と結論づけるのが気に入らない。自分が感情的にならないのに、相手がイライラして突っかかってくるケースが多い。大人の対応で涼しい顔で、なだめようとするが、槍のような鋭利な言葉で、人の気にするところを言ってくるので、最後はこっちもヒートアップだ。

 

毎回、喧嘩のあとの徒労感は半端ではなく、時間の無駄だ。そして何より娘が可哀想だ。両親の喧嘩は成長にどんな悪影響を及ぼすのだろうか。屈折した大人に成長してもらいたくはない。より健全な夫婦関係を築けないのかと思い手に取ったのが『感情的にならない話し方』だ。著者の和田氏には、大学受験の時に勉強法の本でお世話になった。まさか、15年以上たって、再びお世話になるとは。しかも受験よりも厳しい夫婦生活への指南を受けるとは。

 

ノート1:3つの基本

・態度や行動に表さない。とはいっても感情を抑えることが、感情的にならない話し方ではない。穏やかに、誠実に話す。

・リラックスして話す。怒りが頂点に達していると、声を荒げたり、拳に力が入ったり、やたら早口になったりする。だから、緊張を緩めて話す。

・話の目的を忘れない。ヒートアップすると、結局何のために話をしていたのかがわからなくなる。話を元に戻すことが大切。

 

・大事なところ、譲れないところ、自分が信じていることなら、その主張に感情を入れて話すべき。

 

ノート2:認知的成熟度を身につける

・他の考え方もある、と理解する。自分の考えが全てと思わない。

・意見には反対してもよいが、一旦、受け入れてみる。とりあえず、「言いたいことはわかった」と言ってみる。

・曖昧であることを恐れない。すぐに白黒ハッキリする必要はない。

 

ノート3:心の狭さを作る2つの理由

  • 「人間は誰もが間違える」ことを認められない。

認知的不協和:信じていた宗教がインチキだとわかったが、自分がだまされたと認めたくないため信じ続けてしまう。

 

  • バカにされたくないという気持ちがある。

本当に力のある人や周囲から認められている人は、威張らないしバカにされても気にしない。心に余裕がある。バカにされて怒る人ほど、自分の危うさに気づいている。

 

ノート4:即断即決しない考え方

・ビジネスでは即断即決が素晴らしいと評価されているが、理論よりも感情で決めてしまう場合、時間が経って得策でないことがわかったり、急に冷めてしまったりする。

・考える時間を与えることで、感情や気分に流されず、色んな視点が見つかる。

・感情に任せて、相手に答えを迫ることも控えるべき。

 

私には圧倒的に認知的成熟度が足りない。自分の主張以外に正論はない。喧嘩になるとそう思ってしまう。こうして振り返ってみて、またやってしまったと思うことはあっても、修羅場ではそんな感情は皆無だ。いかに相手をねじ伏せて、激情させるか、そのことしか頭にないのである。テレビの討論番組を見ていて、大の大人が主張の対立で罵り合っている姿を見ると、イタい。これが自分の喧嘩している姿かと思うと、ますます自分がイタい。

 

認知的成熟度というのは、言いかえれば教養であろう。教養とは、自分の考え以外の考えが成り立ちうることを知ることだと誰かが言っていた。別の意見の正しさはともかく、そう考える相手がいるという事を理解しなければならない。自分にとっては、洗濯物の干し方なんて、乾けばいいのだが、妻にとってみれば、干し方ほど大事なことはないそうだ。その時点で、「わかった」と受け入れればよい。なのに、「別に天気いいんだから乾くって」はNGだ。火に油を注ぐ発言だ。

 

まずは、喧嘩になる手前で、相手の主張をいったん受け入れる訓練をしよう。