ばんちゃんの読書日記~新書・文庫篇~

読んだ本の感想や勉強になったことをメモするための読書日記です。

資産運用するために知っておくべきこと『フィンテック革命の衝撃』を読む。

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お金を稼ぐには3つの方法があると思っている。

 

一つは労働。自分で働いてお金をもらう。フリーランスの場合は、注文がなければ収入はゼロだ。しかし、雇われたらクビになるまで、あるいは自ら辞めるまでは、雇い主から賃金を得ることができる。

 

二つめは、オーナー。人に働いてもらうことでお金を獲得する事業主だ。資産を使って人を雇って、機械を買って、売上を上げていく。従業員の給与など経費を諸々支払って残ったお金すべてを手に入れることができる。自分で働くよりも、相手に働いてもらうのでマネジメント力がないとうまくいかない。

 

三つめは、投資。お金に働いてもらう。お金を預けたら、その価値が上がった時に売って儲ける。

 

労働によって一気に収入が増える可能性は高くないが、コツコツ働き安定した収入を得るのには最適である。残りの二つは、うまくいけば大金持ちになれる。しかし失敗すれば一文無しどころか借金生活に転落する可能性がある。ハイリスクハイリターン。私のイメージはこんな感じであった。

 

そして私は、『同じハイリスクなら、自分が考えて資産を動かせるほうが良い』という点で事業主を選んだ。やってみると、人に働いてもらう分、とても神経を使う仕事である。そして軌道に乗るまでは借金を負うことになった。

 

 

そろそろ、第三の選択肢、投資にも挑戦してみたくなった。なんでも近頃は投資ブームらしく投資の敷居はめっきり下がっているようだ。毎月3000円投資して1000万円になったなんていう本も出てるくらい投資は手軽にできるものであるらしい。

 

資産を増やすことを目標にやってきているので、投資も大事な手段である。さっそく金融に関する書物を読んでみようと思った。フィンテックという言葉を抜きにして今日の金融は語れないということで、本書を手に取った。

 

ノート1:フィンテック革命

フィンテックとは人工知能(AI)やブロックチェーンといった新技術を使って、金融サービスを革新的に高度化することである。資金調達、資産運用、決済・送金、貸付、保険などほとんどの個人向け金融サービスの利便性は向上する。スマホさえあれば現金が不要な時代になる。

 

フィンテック革命により、日本経済、企業経営、株式市場が大きく変わっていくだろう。第一に、個人の資産運用の活性化につながる。第二に、個人の金融行動が貯蓄から投資に変わることで市場に多くのマネーが流れ込む。第三に、非金融事業会社が容易に金融事業に参画しに、収益を拡大させる。

 

ノート2:人工知能(AI)

人工知能による、ディープラーニングという技術は金融との親和性がとても高い。ビッグデータや経験をコンピューター自身が学習してさらに高度化する。人間が学習するのと同じように、コンピューターが様々なパターンに対応できる能力を身に着けることができるのである。それによって、知的労働さえもAIが取って代わる時代が来る。弁護士や会計士、医師など専門性の高い職業でさえも、仕事の相当部分をAIがカバーできてしまう。

 

しかし一方で、現段階での人工知能には、①意思がない、②知覚できない、③事例が少ないと対応できない、④ひらめきがない、⑤常識がないといった欠点もある。AIの暴走を監視するための人間の介入は必要である。

 

ノート3:フィンテックの担い手は金融機関ではない

現状、世界のフィンテック革命を率いているのは、アメリカの大手IT企業である。彼らの仕掛けるフィンテック革命で、金融業は大きなダメージを被る。2025年までに銀行の利益の20-60%は減少すると予測されている。これに対抗するかたちで、大手金融機関も積極的にフィンテックの活用に乗り出してきた。アメリカでは大手金融機関がモバイルバンキング、SNSの活用、ビッグデータブロックチェーンの開発に投資を行っている。

 

金融機関がなかなか攻勢に出ることは難しい。フィンテック時代には、事業会社が容易に金融サービスに参入できる。一方で、金融業は規制によって非金融サービスへの参入が閉ざされている。特に日本は金融サービスが特殊(例えば、日本では電子決済の普及率が低く、現金決済がほとんど)であるため、潜在的なニーズが計り知れない。今後も産業界から金融界への進出は進むだろう。

 

特に、小売業や製造業と金融の相性は高い。トヨタ自動車トヨタファイナンスの利益規模は金融機関の利益に匹敵する。セブンイレブンが始めたセブン銀行も高収益で会社の利益をけん引している。ソニーも早くから金融業に進出し成功を収め、今や主力事業にまで成長した。

 

金融業への参画に必要な投資を、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)という形で行う企業が増えてきている。日本ではベンチャーキャピタル(CV)への投資はアメリカほど盛んではない。それよりも、事業会社が子会社を設立してベンチャー企業に出資したり、ファンドに運用委託したりして投資する。自社で開発に取り込むよりも、事業会社がベンチャー企業に出資して、その技術を社内に取り込む方が効率的である。

 

ノート4:個人向け金融サービスの変化

日本人は個人資産のほとんどを貯金や保険などの安定資産に置いている。アメリカのように積極的な資産運用をしてこなかった。日本人の総個人資産額は1700兆円ほどあってその8割が貯蓄や年金・保険に投資されている。

 

理由としては、日本人は金融リテラシーが低いため投資に消極的であること、投資商品が日本では高コストであることなどがあげられる。しかし、フィンテック革命によって投資コストが下がること、ロボアドバイザーに運用を任せることができることで投資への敷居は低くなってきている。

 

すでに破たんしている年金制度に頼るのではなく、長期的な投資信託などで資産を増やしていくことも、フィンテックを利用すれば素人でも可能である。この個人の投資マネーが増えることで株価は上がり、日本経済は復活する。

 

 

こうした革命の中心にいるのはアメリカだ。フィンテックの企業リストをみるとほとんどアメリカのIT企業だ。アメリカの企業は本当に強い。大前研一氏も指摘する通り、トランプ大統領の掲げる「アメリカファースト」「再び偉大な国へ」はすでに達成されていると痛感する。世界的に見ても、アメリカにかなう国なんてない。

 

我々はないものねだりせずに、細々と自分の資産を幾分かでも増やす努力をしよう。もらえるかもらえないかわからない年金に頼るよりも、やっぱり自分で自分の資産を守らなければならない。そうでないと、すべて政府のせいにしてしまいそうだ。

 

ここまで金融が身近になってきたら、そしてロボットが代わりに運用してくれるならば勉強するよりも先に、少額からでも始めた方がよさそうだ。ネットでの投資信託は500円からあるらしい。500円…これは投資というよりは貯金に近い感覚だ。しかし、大手銀行に預金するよりも資産は増える可能性がありそうだ。少額のくせに分散投資もできるようだ。

 

フィンテックの流れに乗って投資を始めてみるとするか。