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ばんちゃんの読書日記~新書・文庫篇~

読んだ本の感想や勉強になったことをメモするための読書日記です。

両立は難しいのか 『仕事と家族』を読む。

ビジネス

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1月ほど気合いの入る月はない。仕事もオーバーペースだ。プライベートも気合い十分。さっさと1年の予定もざっくり決めて、海外旅行やイベントを考えている。

 

毎年1月は出だし好調だ。しかし結局、2月あたりからペースダウンし、5月病にかかるころには計画は絵に描いた餅になる。そして年末、思い起こして年始に立てた計画の半分も消化できずに年を越すことで焦り、次こそはと意気込む。これを繰り返して気がつけば30も半ばだ。私はこれを魔のサイクルと呼んでいる。

 

立てている計画を眺めてみると、だいたいが家族のことか、仕事のことだ。託児所通いの娘を保育園に入れて夫婦でがっつり働こうと思っている。娘が成長するにつれてお金はかかる。資産を増やさなければ。

 

自分の人間としての成長も大事だ。人は仕事で磨かれるという。どんな勉強をしようか。次のステップに進むには何をしたら良いのか。どこに時間とお金をかけようか。夫婦でしっかり自分たちのキャリアを考えたい。そのためにも子どもの世話ばかりもしていられない。

 

説明会にも参加して保育園の候補を2つに絞った。役所の人には5個書いてくださいと言われたが、5個も通わせたい所が見当たらない。認可保育園の枠なんかほとんどないのだから贅沢は言っていられないのはわかる。しかし、自分の大事な娘を他人に預けなければならないのだ。適当になんか決められるか。家族のことを考えると、そろそろ終の住処、マイホームをもった方がよいのかとも考える。娘が小学校にあがる前には決めたい。友達もできる年頃だろうし、住まいが変わってばかりでは可哀想だ。

 

本書は、「日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか」という副題がついている。過労死が社会問題になり、2017年は働きすぎが悪の根源とされ「俺、ほとんど寝てないぜ~」がイタい時代がやってくる。ともすれば相矛盾する仕事と家族を、両方充実させるにはどうしたらよいものか。日本の労働問題を家族社会学の視点を学ぼうと思う。

 

 

ノート1:未婚化の原因

経済成長の鈍化により、これまで家庭を支えてきた男性の所得見込みは下落している。男性の雇用が安定していない、給与も思うように伸びないという現実に、共働きができればよいが家庭との両立は困難なので、女性は結婚をしないという戦略をとることになる。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、女性の高学歴化、キャリア志向は、現在も40年前もそこまで高くない。結婚して仕事を辞められたらやめてもよいと考える人が多い。専業主婦も悪くない、でも現実的には無理だろうと考えているため女性も独立して働くことを選んでいる。

 

ノート2:アメリカとスウェーデンの成功

出生率をあげるには、本当に共働きがよい政策なのかという議論は尽きない。出生率と女性の労働参加率はマイナスの相関にあるからだ。マイナスの効果には国によってバラツキがある。特に日本はマイナス効果が非常に高い。一方でアメリカ、スウェーデンは低い。この2つの国はある時点からプラスに転じたり、中和されたりした。

 

国民皆保険でさえ整備されていない小さな政府のアメリカ、逆に社会保障費が莫大な大きな政府スウェーデン正反対の国に共通する政策は「雇用創出」、つまり共働き社会を作ることだ。共働き夫婦が増えた結果、出産・家事育児を理由に働くことを諦めるという割合が減った。スウェーデンでは賃金の高い公的機関の雇用を増やしている。アメリカでは企業に賃金、労働時間など裁量をあたえて雇用市場を活性化させている。また給付付税額控除があり、ミニマムな給与が支払われる。女性が結婚・出産後もまとまった所得を稼げるという見込みが社会で共有されれば所得の低い男性とでも結婚する可能性が高まっていくのだ。

 

ノート3:日本の共働きの現状

日本女性の社会進出率は先進国の中でも高い。しかし本当の意味での共働きにはほど遠い。夫婦でがっつり稼ごうと思ってもなかなか難しい。パートやアルバイトといった非正規雇用率が高いためである。なぜ非正規雇用を選ぶのか。2つの理由がある。ひとつは日本の労働市場が硬直化しており、過度なまでの正社員が保護されていることだ。正社員のハードルが高いのだ。

 

もうひとつは日本独自の職能資格制度だ。勤務地、内容、労働時間の無限定性が正社員には求められる。どこに飛ばされるかわからない。自分のスキルにあった職につけない、長時間労働も当たり前。こうした弊害から出産・子育てをしながら正社員のキャリア形成を行うことは困難である。日本の課題は少子高齢化にともなう長期的な労働力不足、社会保障の担い手不足である。労働市場規制緩和とライフスタイルにあわせた働き方改革が求められるのである。

 

 

少子化の一因である未婚化の原因を、経済の低成長に見ているところが興味深い。常にキャリア志向の女性が周りにいたからか、女性の労働意欲の高さや労働機会の増加が、未婚化を引き起こしていると思っていた。

 

確かに、日本はこの20年くらい所得が変わっていない。世界各国の所得は増加の一途を辿っているのに。もはや、物価だって東南アジアとそんなに変わらなくなった。そんな状態ではお金は貯蓄にまわり消費も伸びないだろう。全然増えない、増える見込みのない所得を目の前に、結婚して子どもなんか持ったら家計は火の車だ。そう考えると経済の成長は絶対に大事なのだ。「これからは成長よりも成熟を目指せ」などと言っている人は、低所得に苦しむ労働者の気持ちがよくわかっておられないのだろう。

 

どの新聞や雑誌をみても2017年は「働き方改革」をテーマに据えている。まずは長時間労働の禁止に取り組むようだ。16時の保育園のお迎えに間に合うように短時間労働があったらうれしい。労働時間で給与が決まるのではなく、生産性で評価されたい。

 

昔読んだ本に、「生産性を高めるにはやることを増やして時間を減らすのが一番だ」と書いてあった。時間を区切ってやることは効率をあげるのだそうだ。大企業勤めの友達は、2017年は連休が少ないと嘆いている。これはチャンスだ。がんがん有給をとって自分の好きな時に休めば良い。いつも混雑で断念している観光スポットにも足が運ぶだろう。

 

とりあえず私は働き方改革よりも、夫婦で「自分たちはどんな生き方をしたいのか」を話し合い、方向性を決めないと。何のために働き方を変えるのかわからなくなる。