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ばんちゃんの読書日記~新書・文庫篇~

読んだ本の感想や勉強になったことをメモするための読書日記です。

この選択肢はどうだろう 『戦争する国にしないための中立国入門』を読む。

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安倍首相は南スーダンでのPKO活動で自衛隊に死者が出た場合、辞任する意向を示したようだ。国連南スーダンの治安は非常に悪化しているとして警戒を呼びかけている。南スーダンでの活動報告書も破棄されたとかで防衛省隠蔽工作が疑われている。

 

いよいよ自衛隊の死を肌で感じる事態にまでなってきたか。遠い国の紛争解決を手伝いに行って、武力衝突が起こる可能性がでてくるとは、防衛大に進んだ高校時代の同級生の口にしていた「専守防衛」がむなしく聞こえる。

 

政府は「国民が戦争に巻き込まれないために」憲法第9条の解釈を変えて、集団的自衛権の行使を自衛隊に許した。しかし、国民が戦争に巻き込まれない方法とは集団的自衛権だけしかないのか。他の方法よりもベストな選択なのか。他の可能性も考えた結果の結論なのか。

 

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国谷さんからのメッセージ 『キャスターという仕事』を読む。

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録画している動画がハードディスクの容量いっぱいになった。もはや、一刻の猶予も許されない。このままでは、奥さんが観たいと言っていたドラマを録れないではないか。最近多忙を極めている我が夫婦は全くテレビを観ていなかった。週末にまとめて観るはずのドラマ達がテレビ下の小さな箱に、たまりにたまっていたのだった。

 

毎回ドラマを1話観て、取捨選択をするのだ。今クールも話題作が豊富だ。とはいえ、3話くらい話進んでいる。気が気ではない。もういい加減ドラマなんて、とよく言われる。奥さんとの唯一共通の趣味だと言えば同情されるだろうか。ドラマが我々の仲を取り持つ最適なコンテンツなのだ。ドラマをエンタテイメントとしてしか捉えられない人には、我々夫婦にとっての価値など見いだせまい。

 

とにかく方法は2つだ。時間を作って観るか。古いものを削除するか。古いものを残している理由は簡単だ。価値があるからだ。それを削除するのは非常に痛みを伴う。

 

といいながら、録画動画をチェックしてみると懐かしい番組が見つかった。『クローズアップ現代』の最終回だ。

 

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混沌がもたらすもの『応仁の乱』を読む。

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応仁の乱って!」思わず声が出てしまった。「人よむなしい」で覚えたあの1467年の大乱の文字が、20年の時を超えて私の目の前に現れたのだ。高校以来久しぶりに出くわした懐かしい響きからか、思わず手に取ってしまった。

 

高校生とは大概こんなものだろうと思うのだが、応仁の乱という言葉が、なぜかかっこよく聞こえた。平成という元号よりも、昔の元号のほうがイケてるな、と思ったものだ。

 

さて20年経って、相変わらず「懐かしい」なんて興奮しているところを客観的に見ると、人間の本質は変わらないのだと思ってしまう。しかし、こっちも高校生じゃない、一応社会の荒波に揉まれてきた大人だ。「懐かしい」だけで終わらせてなるものか。

 

なぜ今更、新書になったのか?新しい発見でもされたのか?という疑問がわいた。と同時に、応仁の乱って何だったのか、という自分の無知に改めて気づかされた。これも何かの縁。久々に日本史を勉強しようかと、大人になった私は再び応仁の乱と相まみえることとなった。

 

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本当に民意は反映されているのか 『多数決を疑う』を読む。

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先日のオバマ大統領の演説は素晴らしかった。大統領候補のキャンペーンでの彼の演説を目の当たりにして以来、個人的にひいきにしている。彼の8年間の功績の評価はアメリカ人に任せよう。核なき世界を訴えノーベル平和賞をもらい、アメリカ大統領として初めて被爆地・広島にも訪問した。そしてアメリカで初めて皆保険制度を築こうとした。自由と平等の国らしいリーダーだと感じた。

 

かたやトランプ大統領である。彼はオバマ大統領と正反対。よくもまあ、同じ国の大統領がここまで違うかと感心する。政策は仕方がないとしても、振る舞い、言動がルードだし、ナショナリズム丸出しだ。大統領はアメリカ人の代表者だという。選挙結果はアメリカ人の民意だとも言う。

 

feuillant.hatenablog.com

 

アメリカ人の知り合いで、トランプを支持する人は一人もいなかった。彼らの落胆ぶりは見ていて痛々しかった。彼ら有権者の無力感を払拭するために、アメリカの選挙と民意について考えてみた。だいたい、これだけ複雑化した世の中なのに、「人民の一般意思」をまとめるのに二つしか選択肢がないのはおかしい。トランプかヒラリーか、「うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、どっちがいい?」みたいな議論が先進国で起こっているのはなぜか。ビーフカレーが食べたい人の意見はどこに行ったのか。

 

本書は、自分の意見が選挙で反映されない、自分の意見を細かく表明できない、我々有権者のもどかしさを、社会選択理論という視点で説明してくれている。このブログでも取り上げたが、ポピュリズムという言葉が跋扈している。大衆の意見の反映が、過度に政治を不安定にしているという。

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両立は難しいのか 『仕事と家族』を読む。

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1月ほど気合いの入る月はない。仕事もオーバーペースだ。プライベートも気合い十分。さっさと1年の予定もざっくり決めて、海外旅行やイベントを考えている。

 

毎年1月は出だし好調だ。しかし結局、2月あたりからペースダウンし、5月病にかかるころには計画は絵に描いた餅になる。そして年末、思い起こして年始に立てた計画の半分も消化できずに年を越すことで焦り、次こそはと意気込む。これを繰り返して気がつけば30も半ばだ。私はこれを魔のサイクルと呼んでいる。

 

立てている計画を眺めてみると、だいたいが家族のことか、仕事のことだ。託児所通いの娘を保育園に入れて夫婦でがっつり働こうと思っている。娘が成長するにつれてお金はかかる。資産を増やさなければ。

 

自分の人間としての成長も大事だ。人は仕事で磨かれるという。どんな勉強をしようか。次のステップに進むには何をしたら良いのか。どこに時間とお金をかけようか。夫婦でしっかり自分たちのキャリアを考えたい。そのためにも子どもの世話ばかりもしていられない。

 

説明会にも参加して保育園の候補を2つに絞った。役所の人には5個書いてくださいと言われたが、5個も通わせたい所が見当たらない。認可保育園の枠なんかほとんどないのだから贅沢は言っていられないのはわかる。しかし、自分の大事な娘を他人に預けなければならないのだ。適当になんか決められるか。家族のことを考えると、そろそろ終の住処、マイホームをもった方がよいのかとも考える。娘が小学校にあがる前には決めたい。友達もできる年頃だろうし、住まいが変わってばかりでは可哀想だ。

 

本書は、「日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか」という副題がついている。過労死が社会問題になり、2017年は働きすぎが悪の根源とされ「俺、ほとんど寝てないぜ~」がイタい時代がやってくる。ともすれば相矛盾する仕事と家族を、両方充実させるにはどうしたらよいものか。日本の労働問題を家族社会学の視点を学ぼうと思う。

 

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厄介者の正体『ウイルスは生きている』を読む。

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胃腸風邪をひいてしまった。毎年冬には必ずと言っていいほど風邪をひく。自分の軟弱な体が恨めしい。まさか今回はお腹に来るとは。それでも風邪だったことはありがたい。今年はノロウイルスが流行しており、まさか自分もと思いながら病院に足を運んだ。ノロウイルスの特徴は高熱だと医者は教えてくれた。しかしながら、お腹の痛さは半端ではない。トイレとベッドの往復だった。

 

そういえば、鳥インフルエンザも猛威を振るっているそうだ。養鶏場での感染が確認されれば、すべての鶏が殺処分される。今年は酉年だ。さっそく縁起が悪い。トイレの中で、ウイルスという厄介な存在を恨みながら手にとった本書は、この厄介な存在が実は我々人間の進化に大きな影響を及ぼすことを私に教えてくれたのである。

 

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もしかしたら自分も…『愛着障害の克服』を読む。

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知り合いが、うつ病の一歩手前であると診断され休職しているそうだ。「一歩手前」とはどういうことかよくわからないが、友達がそう知らせてくれた。しばらく会っていない人の近況をこういう形で聞くのは良い心地はしない。

 

あんなに明るい男が、まさか、と思ってしまう。あまり深く突っ込んで聞くのもどうかと思い、「それは大変だ」とだけ返したが、職場の人間関係が原因らしい、と友達は付け加えた。上司に毎日のように怒られたのか、同僚から嫌がらせでも受けているのか、あれこれと想像をめぐらせてしまう。

 

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